竹炭でエジソン電球を作ってみよう 
                              足利工業大学 電気電子工学科 非常勤講師
                              足利工業大学 附属高等学校 電気科教諭
                                              岩崎 眞理
 エジソンは京都の男山の孟宗竹を使って炭化させフィラメントを作り電球を発明したことは有名である。
エジソンが1878年に電灯の実験を始めたころに発光体として炭素を使ったら良いと考えた。
実験を重ねるうちに高度の真空が(百万分の一)できるようになり炭素をフィラメントとして導線に用いることを
考え木綿の縫い糸を炭化して円形や馬蹄形にしててガラス管の中に入れて排気して、最初に実験したならば
40時間の点灯時間になった。その後、炭化紙でさらに良い成績を修めた。
エジソンはその後も完全に均一な炭素のフィラメントを作り出すために世界中から約6000種もの植物を取り寄
せて実験を行った。
 1880年のある日、しゅろの団扇(うちわ)の骨組みが竹の筋で出来ていることを目をつけたエジソンは
その竹を使って実験をした結果、点灯実験の成績が良かったのでエジソンはムーア氏を日本と中国に行
かせた。そして日本では京都の八幡から1年〜5年生の竹を採取して実験を行った結果、ブラジル、
キューバ、アマゾン、エクアドル、東南アジアから採取した竹より日本の竹が一番成績が良かったので、
日本の竹を買い求め繊維を取り出し炭化させ電球の線条として使った電球を作りあげた。
その後、1882年エジソンは白熱電灯会社を設立しニューヨークの町を日本の竹炭が明るく彩った。
と当時の記事に書かれています。現在は高温度で使えるタングステン線が使用されています。
また記念碑は京都府綴喜(つづき)郡八幡町男山の岩清水八幡宮に立てられました。

下記に簡便なエジソン電球の作り方を書きました。
ここでは繊維を取り出して炭化させるのではなく、細く削った竹を炭化させて使います。

材料の用意と確認をします。
全体の配線を確認します。
綺麗に点いた所です。
下記に作り方を書きましたので参考にして下さい。

エジソン電球の作り方
安全を考えて実験をすること、責任は各自で、火傷、感電、ガラスの破損や怪我に注意、子供だけでは危険です。
責任の取れる大人や学校の先生の立会いの下で責任者を決めてから、実験を行うこと。
作る時には電気工事士の免許の保有の方に作ってもらうこと。
実験中にガラスが高温により破損することがありますので実験中は火傷やガラスの破損・飛散・感電事故に注意

第1回目材料の用意                     足利工業大学附属高等学校 電気科 岩崎 眞理

 1.竹炭(白炭で1センチあたり10オーム以下のもの)

 2.蓋付きのガラスのビン(大きいインスタントコーヒーのビン) 有れば耐熱ガラス瓶や真空用ガラス瓶

 3.1.6ΦのIV線1m程度  接触防止用熱収縮パイプ ガラス繊維カバー

 4.平行ビニールコード(12アンペア) 1m程度 出来れば安全のためにガラスチューブ線を使うこと

 5.エポキシ系接着剤

 6.3Φビスナット長さ8o程度10組

 7.ラグ端子 2個

 8.リクターミナル 2個

 9.ゴム足又はプラスチックの足 4個

10.鉄のクリップ(小)又はステンレスクリップ 4個(銅は不可溶けます)

11.切り替えスイッチ1個(10アンペア以上)

12.スライダックトランス0〜130ボルト 10アンペア以上  または0〜30ボルト0〜10アンペアの直流電源
   バッテリーは不可、電圧調整が出来ません。

13.スライダック用ブレーカー漏電遮断機付き電源コード

14.延長コード(必要な方) 10アンペア以上のもの

15.工具一式

16.使い捨てカイロ又は脱酸素材(酸素を抜くため)または車用タイヤバルブ 窒素ガス用2本
   真空ガラス瓶の場合は真空ポンプ


17.あれば交流電流計(10アンペア)・交流電圧計(150ボルト) テスターは必須条件

18. アルミケース又はプラスティックケース

19.sus304のステンレスの0.5厚の板 大きさは自由 炭を挿むのに使用 4枚
   炭の高温によりクリップが損傷するのを防ぐ放熱板の役目です。

第2回目作り方 

  1.ビンの蓋を取り外します。

  2.アルミケースに蓋を乗せて、位置決めをします。

  3.ターミナルと端子などの位置決めも行います。

  4.位置が決められたら、3ミリのドリルで穴を開けます。

  5. 1.6ミリの銅線を加工します。

  6.鉄のクリップを3ミリのビスで固定します。

  7.下側に使うクリップを撚り線に固定します。

  8.この2つのクリップに8センチほどの割り箸をつけます。

  9.この線の穴あけを5ミリのドリルで開けます。

 10.あけたところに線を通し、端に接触しないように熱収縮パイプを通し、ガラスチューブも取りつけます。

 11.ガラス瓶をつけて、高さの調整を行います。

 12.線をエポキシ樹脂で固定します。

 13.接着剤が乾いたらターミナルなどをつけます。

 14.半田ごてで配線をします。

 15.白炭の竹から長さ8センチ幅5ミリ程度に切り出します。2本

 16.割り箸の代わりに、炭を付け替えます。炭はステンレスの放熱の板を途中に入れますとクリップの交換がいりません。

 17.スライダックトランスに各線を接続します。スイッチは入れない、電圧調整は最低にする。接続の確認をすること。

 18.酸素を燃やすほうの回路に切り替えます。

 19.スイッチを入れ、徐々に電圧を上げていきますと少しずつ炭が赤くなってきますので、ここで適当に煙を出します。

 20.次に回路を切り替えて炭の中の煙を同じように出します。薄い鉄板又はアルミ版を用意して、電源を切ったら絶縁した手袋で
   持ってすぐに燃えている炭に当てて冷却します。この作業は必須です。エージングといいます。

 21.脱酸素材を入れてガラスを閉めます。窒素ガスの方はここを省きます。

 24.半日以上置いてから実験をはじめます。
    ガスタイプの場合は窒素ガスを封入します。片方のバルブは開放し、窒素ガスを徐々に入れて酸素を追い出します、そして
   酸素が出たらバルブを閉じて、少し内圧を上げて入れておきます。圧をあげすぎると瓶が破裂します。

 25.回路の酸素を燃やす回路に切り替えて、電源を、つなぎ少しずつ電圧を上げていきます。片方の明るさを40ワットくらいの電球の明るさに
   しておくと数分で炭が燃えて残っている酸素がなくなります。

 26.ここでスイッチを切り替えてボルトスライダーのつまみを回して上げていき5〜10アンペア程度の電流で明るくなります。

 27.実験は3分以内に終了すること、安全確認は自分で、事故があっても自己の責任で処理をすること。

 28.電圧を下げスイッチを切りコードをはずしてから片付けること。ビンが高熱になっているのでやけどに注意


    【戻る】




白炭の製造方法は竹を節の無い所を10cm程度選び、表皮を削り取り、竹を5ミリ程度に割って竹の棒を作ります。
次に割った竹を金属の茶筒等に入れて1000度以上で焼くと電気の通る炭になります。

ステンレスの缶は上に穴を開けておきます。
炭や練炭コンロに炭を入れてその上にステンレスの缶に竹を入れて置き周りにも炭を置いてから素焼きのポットをかぶせて
火をつけます。そのうちに缶の穴から煙が出てきます。
煙が出なくなったら空気を扇風機などで送り込みますと温度が1000℃にもなります。

竹の白炭(1100度以上で焼いた物 抵抗値10オーム/p)が手に入れることの出来ない場合には、手持ちがありますので
小中学校の実験教材用として無償提供いたします。ただし、郵送代のみ負担してください。
郵便番号・住所・学校名・校長名・担当者・電話番号・メールアドレスをお知らせください。
2006/09/11 補足追加
簡易な製造法
竹の割箸をお茶筒に入れて蓋をして、焚火で蒸し焼きにする。次に煙りが出なくなったならガスコンロの上に
餅焼き網を載せ一回り大きい缶を載せてその中に茶筒を入れてで焼きなおすと白炭の竹炭が出来ます。